About Bread

パンを作るということに関して、特別なことは何もありません。
よく家庭で作るパンとパン屋で作るパンの差異について聞かれますが、大きな違いは何もありません。
私たちパン屋は、家庭で作るパン作りの延長線上にあるだけのことです。
パンが出来上がってゆく基本的な過程には何ら違いがあるわけではなく、基本的な製法は同じなのです。

パンを作るうえで重要なのは、作り手に合わせることなくパン生地に合わせるという一点に尽きると思います。
ジャストなタイミングで分割や成形を行う見極めが大事です。時間の都合で考えてしまうといいものにはなりません。
ですから、いかにパンに適した「環境作り」をしてあげることができるかが重要なのです。当然のことながら、四季を通じて気温や湿度を考えながら、「環境作り」をしてゆかなければならないということです。
ある意味パン屋の仕事は毎日がルーティンワークですが、日々生地の状態が全く同じということはありません。毎日、少しずつ表情が違います。それを均一な状態にもってゆくこと(パンチの強弱や丸めの強弱など)にこの仕事のおもしろ味があると思います。

ベッカライ福十のパンは、一口食べて「これはうまい!」というパン作りを目指してはいません。
パンはご飯と同様に、飽きのこない美味しさを求めないといけないと思っています。
ですから、私はバゲットやバタールを最も基本に位置付けをしています。なぜなら、最もシンプルな配合でありながら、発酵による生地熟成がパンを左右し、パンチや丸めの強弱といった見極めや生地の取り扱いが出来上がりにダイレクトに影響するのがフランスパンであるからです。今までもそう考えてきました。今後もそう考えてゆくつもりです。今売れるものを考えるのはある意味で簡単です。そうではなく、長く続けていくことが大事なことであり、難しいことでもあります。

一本のバゲットから広がるHappiness そうなれれば最高にうれしいと思っています。
May your daily table be happy with Backerei Fukuju's bread and pastry.

パン作りの工程 ~バタール編~

フランスパンを例にとって、パンの出来上がるまでを解説します。
一般的に家庭で作るパンと工程は同じです。このようなパンの製造の工程を一回でダイレクトに行う方法を「ストレート法」といいます。「ストレート法」の良い点は、なんといっても風味の良さにあります。
ベッカライ福十のバタールやパン・ド・ミなどは、この「ストレート法」で作り、バゲットは「ポーリッシュ法」という液種を作り、翌日にミキシングを行う方法で作っています。
「ポーリッシュ法」で作ったフランスパンは、香味成分が液種により増えると言われていますが、何よりの特長は“バリッ”としたクラストにあると思います。バタールとバゲットのクラストや風味の違いは食べ比べると一目瞭然でわかります。

ミキシング生地を捏ねることです。
本捏ねする前に小麦粉、モルト、水を水和させて20~30分そのままにしておき発酵の働きを引き出します。生地に伸展性を持たせ、窯伸びがよく風味が向上します。これをオートリーズといいます。

オートリーズ

ミキシング

発酵生地の膨張と共に熟成を進ませます。
バタールの生地の発酵時間は3時間。その間に酵母は糖分を酵素により分解し、炭酸ガスやアルコールを生み出します。これが「うま味の素」なのです。
途中パンチを入れます。パンチと言っても生地を折りたたむ感じでしょうか。発酵促進やグルテン強化の意味があります。

発酵

パンチ

発酵終了

分割・丸めパン1つ分の重さに分割し、丸めます。
丸め方の強弱によって、生地の弾性が変わりますので重要な作業といえます。フランスパンの場合、丸めるというより、軽くまとめるといった方がいいかもしれません。

分割

ベンチタイム丸めた生地を休ませ、弾性をやわらげます。
バタールは約30分。その日の生地の状態により時間は変わります。

ベンチタイム

成形パンの形を作る最終の手作業です。
パンの表情が決定する作業といえるでしょう。

成形

ホイロ成形した最終形のパンを発酵させ適正なボリュームにする、いわば最終発酵です。
バタールなどのフランスパンは、パン・ド・ミや菓子パンなどと違い、木製のボックスでゆっくりと熟成・発酵させます。

ホイロ

焼成生地の表面にクープ(切れ目)を入れて、天板ではなく直接オーブンの床に入れてスチームを注入し焼き上げます。
焼き上がりはクープがしっかりと開いて、パリパリとクラストがひび割れてきます。

クープ

焼成

焼き上がりミキシングから焼き上がりまでに約6時間程度かかります。
手間暇を惜しんではいいパンは絶対にできません。
バタールはその一例であり、シンプルですが基本であり、難しいパンといえるのではないでしょうか。

焼き上がり