ある日の事、
丸くて大きなパンを食べた。
それは今まで食べたパンとは異なる不思議な味わいを持っていた。
その丸いパンは「パンド・カンパーニュ」という名だった。
ある日の事、
ふと思いついてパンを焼いた。
見よう見まねで焼いたバターロールは上手く焼けた。
それが全ての間違いの始まりでもあった。
ある日の事、
どうしてもあの丸い大きなパンを焼いてみたくなった。
見よう見まねで焼いたパンド・カンパーニュは上手く焼けた。
でも、以前に食べたものとは違う気がした。
ある日の事、
思いたって仕事を辞めた。
あの日と同じものがどうしても作りたかった。
昼も夜もパンばかりで数年が経った。
ある日の事、
パン屋になった。