パンを作るということに関して、特別なことは何もありません。
よく家庭で作るパンとパン屋で作るパンの差異について聞かれますが、大きな違いは何もありません。
私たちパン屋は、家庭で作るパン作りの延長線上にあるだけのことです。
パンが出来上がってゆく基本的な過程には何ら違いがあるわけではなく、基本的な製法は同じなのです。
パンを作るうえで重要なのは、作り手に合わせることなくパン生地に合わせるという一点に尽きると思います。
ジャストなタイミングで分割や成形を行う見極めが大事です。時間の都合で考えてしまうといいものにはなりません。
ですから、いかにパンに適した「環境作り」をしてあげることができるかが重要なのです。当然のことながら、四季を通じて気温や湿度を考えながら、「環境作り」をしてゆかなければならないということです。
ある意味パン屋の仕事は毎日がルーティンワークですが、日々生地の状態が全く同じということはありません。毎日、少しずつ表情が違います。それを均一な状態にもってゆくこと(パンチの強弱や丸めの強弱など)にこの仕事のおもしろ味があると思います。
ベッカライ福十のパンは、一口食べて「これはうまい!」というパン作りを目指してはいません。
パンはご飯と同様に、飽きのこない美味しさを求めないといけないと思っています。
ですから、私はバゲットやバタールを最も基本に位置付けをしています。なぜなら、最もシンプルな配合でありながら、発酵による生地熟成がパンを左右し、パンチや丸めの強弱といった見極めや生地の取り扱いが出来上がりにダイレクトに影響するのがフランスパンであるからです。今までもそう考えてきました。今後もそう考えてゆくつもりです。今売れるものを考えるのはある意味で簡単です。そうではなく、長く続けていくことが大事なことであり、難しいことでもあります。
一本のバゲットから広がるHappiness そうなれれば最高にうれしいと思っています。
May your daily table be happy with Backerei Fukuju's bread and pastry.